都市部のアパート投資市場が飽和しつつある現在、利回りや競争力の低下を背景に、地方の“実需型エリア”に注目が集まっています。その中でも、製造業が発達し、雇用の安定性が高い「工業都市型新築アパート投資」が注目されています。
本稿では、東海地方の要所でありながら地価・建築コストを比較的抑えられる岐阜県をテーマに、上場企業工場を中心とした安定した需要、そして1K〜1LDKタイプのアパートによる具体的な投資戦略を解説します。
岐阜県は製造業が経済の柱:製造品出荷額5.4兆円
岐阜県は、令和4年の「工業統計調査」によると製造品出荷額が約5.4兆円で全国第15位。県内総生産の約34%を製造業が占めており、航空機、自動車部品、金属加工、繊維、木工家具など、全国的にも多様な分野で産業が展開されています。
このような工業基盤は、アパート投資家にとって継続的な賃貸ニーズを生む源泉となります。
岐阜県に拠点を置く上場企業の一例(2025年時点)
企業名 | 拠点所在地 | 従業員数(概算) | 主な事業内容 |
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川崎重工業(航空宇宙) | 各務原市 | 約1,300名 | 航空機製造、航空機整備 |
イビデン | 大垣市 | 約2,000名 | 半導体パッケージ・セラミックス |
太平洋工業 | 大垣市 | 約1,100名 | 自動車部品製造 |
三甲(プラスチック製品) | 関市 | 約700名 | パレット・コンテナ製造 |
日本耐酸壜工業(NITTO) | 関市 | 約500名 | ガラスびん製造 |
これらの企業では、正社員のみならず、派遣社員、出張者、協力会社スタッフなど多様な人材が稼働しており、特に単身者向け・夫婦向けの1K〜1LDKタイプ物件へのニーズが継続的に発生しています。
賃貸需要と家賃相場(1K・1LDK別)|2025年時点
岐阜県内の主要エリアにおける1Kおよび1LDKタイプの家賃相場は以下のとおりです:
エリア | タイプ | 面積の目安 | 家賃相場 |
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各務原市 | 1K | 約25㎡ | 4.8〜5.5万円 |
各務原市 | 1LDK | 約35㎡ | 6.2〜6.8万円 |
大垣市 | 1K | 約23㎡ | 4.5〜5.2万円 |
大垣市 | 1LDK | 約36㎡ | 6.0〜6.7万円 |
関市 | 1K | 約23㎡ | 4.3〜4.8万円 |
関市 | 1LDK | 約33㎡ | 5.8〜6.4万円 |
新築物件であれば、これらに**+0.5〜1万円の賃料上乗せ**も可能。インターネット無料や宅配ボックス、防犯対策など、現代的な設備を揃えた1LDKタイプは、法人社宅・カップル・女性単身者からの評価も高く、空室リスクをさらに抑える要素となります。
工業都市型アパート投資 成功のポイント
1. 立地は「車10分圏内」が黄金ライン
工場勤務者の多くは車通勤のため、勤務先工場から10分以内で通える立地が最優先。国道・県道沿いの住宅地、商業施設が近いエリアは人気が高いです。
2. ターゲット層に応じたプラン設計
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1Kタイプ:20代の単身社員、期間工、派遣スタッフなどに最適。
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1LDKタイプ:30〜40代の社員、DINKS、短期単身赴任者、女性入居者にも対応。
同一敷地内に1K×4戸+1LDK×4戸のような混在構成を設けると、多様なニーズをカバーできる柔軟な物件となります。
3. 設備による差別化
人気設備は以下の通りです:
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無料インターネット(Wi-Fi)
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宅配ボックス
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防犯カメラ・TVインターホン
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浴室乾燥機・追い炊き機能(1LDK)
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ウォークインクローゼット
これらは新築アパートの賃料プレミアム化を可能にし、入居決定の加速にもつながります。
まとめ:1K+1LDKで築く「堅実な地方型資産形成」
岐阜県のような工業都市では、賃貸住宅の供給数が限定される中で、一定以上の設備を備えた新築物件への需要は高水準を維持しています。加えて、1K・1LDKを組み合わせた物件構成により、広いターゲット層に対応しながら安定収益を得ることが可能です。
都市部に比べて初期費用も抑えられ、賃貸需要は製造業という「地元の根源的な需要」に支えられているため、空室・家賃下落に強い堅実な投資エリアとして位置づけられます。